江戸時代末期、今から約190年前、延岡市の方財島で大筒の射技演武が盛大に行われました。延岡藩主をはじめ、藩の関係者、町民、大勢が見物に押し掛けその様子は絵図「延岡宝財嶋玉町之図」に記録されました。
「延岡宝財嶋玉町之図」は、現在東京の明治大学博物館で大切に保存されています。
絵図は、平成5年に内藤家当主の内藤政道氏(延岡市名誉市民、故人)から明治大学に寄贈されました。当時、明治大学博物館に勤務していた伊能秀明さんが絵図の調査を行い、描かれているのは文政8年4月8日に方財島で実際に行われた関流の大筒射技演武であることがわかりました。
「延岡宝財嶋玉町之図」について、伊能秀明さんに解説して頂きました。
延岡藩内藤家旧蔵「延岡宝財嶋玉町之図」(明治大学博物館蔵)
【年代】
文政9(1826)年4月8日
【内容】
今の延岡市街を流れ日向灘にそそぐ五ヶ瀬川の河口にある方財海岸の砂浜で大筒の遠距離射撃を実演した様子を詳しく描いた彩色の絵図
【寸法】
30(cm)×415(cm)
約190年前の大筒射技演武の再現
2017年12月10日に、約190年前に延岡市の方財島で行われた大筒射技演武の再現が行われました。
砲術を披露したのは、黒田藩砲術陽流抱え大筒第十六代家元、尾上城由江さん含め4人の方々です。
主催は、延岡藩伝来の内藤家文書を活用した地域づくりに取り組む市民グループ「亀井の丘夢づくりの会」。 延岡市市民まちづくり活動支援事業を活用して行われました。
射技演武の前には、方財小学校で伊能秀明さんによる特別授業が行われ、子ども達は自分たちが住む地域の歴史を学びました。
児童、教職員、地域の人びとが見物に訪れ、まさに当時の再現となりました。
伊能秀明さん
群馬県出身。
早稲田大学法学部卒、明治大学博士号取得。明治大学刑事博物館学芸員、明治大学博物館事務長、明治大学中央図書館事務長、明治大学図書館総務事務長などを歴任。2019年3月まで明治大学に勤務。
以降、20年以上にわたり延岡市を毎年訪問し、「内藤家文書」の特別授業や市民講話を通じ郷土史学習に寄与。
著書は「日本古代国家法の研究」「法制史料研究」「大江戸捕物帳の世界」「江戸・東京歴史ミステリーを歩く」など。
黒田藩砲術陽流抱え大筒
九州筑前国五十二万三千石の福岡城主黒田氏の家臣阿部家に伝えられた砲術で、藩外不出黒田藩のお留め流として伝承された武術。
日本全国各地区、ただし火薬使用可能の公安委員会の許可のある場所で射技の公開を行っている。
日本古武道協会
ーー陽術砲術