幕末大名夫人の寺社参詣ー日向国延岡藩 内藤充真院・続ー
著者 神崎直美
発行所 岩田書院
2021年4月 刊 A5判・204頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-86602-117-1 C3021
(定価)本体2700円+税
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前著『幕末大名夫人の知的好奇心-日向国延岡藩 内藤充真院』(岩田書院 2016)の続編。
岩田書院(http://www.iwata-shoin.co.jp/)
本書では、日向国延岡藩主内藤政順の奥方充姫(充真院・じゅうしんいん。寛政12年[1800]-明治13年[1880])が、江戸と国許とを往復する途中に立ち寄った寺社ついて、自身で詳細に記録した旅日記をもとに、当時の参詣の様子を明らかにする。
なお充姫は彦根藩主井伊直中の娘で、大老井伊直弼は異母弟にあたる。
「今までのデザイン」の書籍にも追加しました。
もくじ
第一章 充真院および寺社参詣の記録
第二章 相模国鎌倉光明寺と近隣の寺社-菩提寺参詣と名所めぐり-
第三章 三河国岡崎大樹寺・西光寺-徳川家と内藤家所縁の寺-
第四章 摂津国大坂寺社参詣-大坂屋敷滞在時の名所めぐり-
第五章 讃岐国金毘羅-初回と二度目の参詣を中心に-
まとめ 充真院にとっての寺社参詣
図版を使い、装幀をさせて頂きました!
2016年刊行の幕末大名夫人の知的好奇心-日向国延岡藩 内藤充真院-に続き、装幀をさせて頂きました。
カバー、カバーを外した表紙、最初のページのトビラをデザインしました。
使用しているのは、題名にも書かれている「充真院」さんが実際に描いた図。緻密かつ、味のある筆の線は充真院さんの人柄を感じる気がします。
前回の表紙イメージを使い、続編っぽく、というのを最初にお聞きしていました。そして原稿を読ませて頂き、制作に入りました。
今回使う図版は建物の見取り図など一つ一つサイズが大きかったため、パターン(繰り返し柄)にこだわらず、カバーの白線図版は全体のバランスを見て配置しました。ちなみに、白線の図版はカバーを外した中の表紙で細かく見ることができます。
充真院さんの旅日記についての内容なので、時間の経過や青空、海、太陽などのイメージをして背景をグラデーションにしました。
内容について
続編ではありますが、この一冊だけ読んでも全く問題ないのでご興味があればどうぞ手に取ってみて頂きたいです。
充真院さんは、人生において4冊の紀行文(旅日記)をかいています。4冊とも転居のための旅を機会に執筆されました。
今回のテーマは寺社参詣。
充真院さんの時代や立場における「旅」に出るまでの大変さ、参詣の際迎える側の準備など、様々な文献を照らし合わせて神崎さんが読み解かれています。
旅の準備に追われる人々の姿が、神崎さんの解説により見えてきてとても興味深かったです。充真院さんの立場による様々な準備は、もちろん私とは比べものになりませんがバタバタしている様子がよくわかります。
また、神崎さんに母と一緒に連れて行って頂いた鎌倉の光明寺や、観光で行った金刀比羅宮、大坂屋敷跡地など。記憶が呼び覚まされて旅行に行っているような気分を味わうことができました。
ちなみに、私も旅行絵日記を描いていた頃があるので充真院さんの紀行文には大変親近感を持っています。
充真院一行が金比羅の表参道沿いの内藤家が定宿としていた「桜屋」に寄ったという部分があるのですが、桜屋は現在「こんぴらうどん 参道店」と書かれていました。
そういえば観光で金比羅さんに行ったときに、そこでうどんを食べたなと思い出し大変懐かしくなりました。なつかしい・・・
神崎直美さん
神奈川県相模原市生まれ。中央大学文学部史学科国史学専攻卒業。中央大学大学院文学研究科博士前期課程修了、及び後期課程満期退学。中央大学より博士(史学)授与。城西大学経済学部教授。
専門は日本近世史・日本法制史。近年の研究テーマは諸藩の藩法と刑事政策、大名家の生活・文化。
著作に幕末大名夫人の知的好奇心―日向国延岡藩内藤充真院(岩田書院)がある。