~前回まで~
前回書き忘れましたが、私が持っている活字は「正楷」と言われる書体です。
正偕以外の書体は、必要な文字をその都度注文していたようです。
悩みながら版を組んでいく様子をそのまま書きました。
組んでいく
右横に4つ並べてあるのは、樹脂版を貼る土台の「メタル」という道具です。最近自分なりにやりやすい方法を模索しているところで、これを置いている理由は後で説明します。
活字の上を手前にして奥に向かい、右から左へ組んでいきます。
これで組んでいく理由を色々考えてみましたが「だってこれがおそらく一番やりやすいから」以外の説明が難しい。そういえば上原さんも説明に困ってました。
やっていたら、これが一番やりやすいと気づきました。
印刷後と同じく、右から左に文章が進んでいくので混乱が少ない気がします。脳は左右逆よりも上下逆の方が処理しやすいのかもしれません。しらんけど。
18p入れる
前回まとめたように、18pを縦に14文字入れます。
「活版印刷」「とは」の間に18pの1文字分のスペース空けたかったので、9pの2倍のコミを2つ入れます。9pのコミを2倍にすれば18pは補えるので、18pのコミはありません。
9pの2倍のコミは、縦に2つ入れても横に2つでも同じですが、私は縦に入れることが多いです。特に理由はありません。なんとなくです。好みの問題…?
5号入れる
インテルを挟みながら5号を置いていきます。
この時点では特に何も考えずに順番に文字を並べているだけです。
丸括弧()は半角ずつなので、2つで5号の全角。
新6号で小さい「っ」を入れる
小さい「っ」は、新6号を使って入れていきます。
新6号を右側に入れると5号とのサイズ差が出るので、新6号の3分を入れて合わせます。
新号数制活字のサイズの上がり方は本で一応読んだのですがいまいちよく分かりませんでした。新6号の色々を合わせてみたところ、3分がぴったりだったので「3分を入れる」と覚えています。
横幅は5号とぴったりになりましたがまだ縦幅が5号には足りていないので、一番下に5号の4分を入れて5号24文字に合わせます。
合っていなくて隙間があると、印刷の際に活字が抜け落ちてしまうので要注意。
修正
行替えのタイミングがあまり良くなかったので、途中で行替えをすることにしました。
2行とも途中に新6号の小さい「っ」入っているため、どちらも5号の4分が入ってます。どこに入れたか分かりやすいように私は文末に入れることが多いです。
それから、全角1つと4倍のコミ1つを入れています。
隣の行と同じようにコミを入れているのは、数が分かりやすいのと個人的な好みです。そろっていた方がきれい。
サイズの確認
大体の文字を入れたところで、行間などをチェック。名刺サイズの紙で幅などを確認しています。
この紙の位置に鏡を置くと印刷された状態と同じになります。
もう少し行間があっても良さそうです。
行間を広げるために、5号の半分の厚みのインテルをそれぞれ追加しました。
1行目の字下げは悩み中。入れたり、やめたり悩みながら進んでいきます。
「←ウラ」を入れる
ウラ面への誘導をつけたくて「←ウラ」を入れることにしました。
「ウラ」の2文字は新6号で入れます。
「←」記号の活字を持っていないことに気づいたので、組み合わせて矢印っぽくなるものを見つけてきました。矢印にみえるみえる。記号2つは5号です。
5号2つの真ん中に縦書きで新6号を入れたいため、「ウラ」の左右を新6号の3分+2分ずつで挟みました。
これで5号2倍と横幅が合うので、新6号の「ウラ」が矢印の真ん中にきます。パズルみたいなものですね。
後は新6号が縦に2つあるので、5号の4分×2=2分で横に2つ、最後に5号の2倍を横に入れて行末がぴったり。これで、活字が抜け落ちることはないはず!
あとは、実際に刷りながら調整していきます。
一旦保存
一旦、版を保存するため輪ゴムを掛けます。
右端にメタルを4つ置いていたのはこのためです。段差ができるので輪ゴムが掛けやすい!最近色々やってみてお試し中のやり方です。
輪ゴムは一時的なもので、版の長期保存にはたこ糸を使います。劣化で溶けた輪ゴムの処理は本当に大変…。
修正
やはり2行目頭の「や」が気になっていたので、1行目へ移動しました。
おまけ
(つづく)