30数年前の大学時代、ドキュメンタリー映像作家にあこがれていた頃からぼんやりと、この言葉を浮かべていた。都会で就職する気はさらさらなく、卒業と同時にさっさと生まれ故郷の宮崎県延岡市に帰り、夕刊紙の記者になった。
水を得た魚は、この小さなまちを泳ぎ回った。そして結論は、やはり針の穴から世界は見える、だった。
ここで紹介するのは、小さなまちで共に生き、ご縁があって出会うことのできた人たちを見つめ、そこから見える世界の一端です。江戸時代は城下町で、大正時代からは企業城下町。その間には戦争があり、空襲により市街地は焼け野原になった。この延岡というまちを通して、何が見えて描けるのか…皆さまも一緒に針の穴をのぞいてみましょう。
(坂本光三郎)
記者
坂本光三郎
宮崎県延岡市出身・在住。1983年、早稲田大学を卒業し、延岡市の夕刊デイリー新聞社に入社。編集部記者として、文化・歴史・福祉を担当。連載企画は「まちづくりと城」「文化ホールはまちをつくるのか?」「図書館づくりを考える」など。
近年は、戦争体験者の著作物や投稿、聞き取り調査をもとにした「語り継ぐ」企画、戦時資料や解説パネルを延岡市立図書館内に展示する「平和祈念資料展」の企画・設営を担当。併せて、宮崎県内の小・中学校で平和学習の講師を務めている。
他に、ピアニスト松浦真由美氏を中心にした特別支援学校の児童生徒対象「にじいろ音楽会」をプロデュース、延岡城西の丸にあり、旧延岡藩内藤家の祖先を祭る亀井神社の奉仕会代表など。FMのべおか局長。
サイト管理、デザイン
坂本真理
宮崎県延岡市生まれ。宮崎県立延岡西高等学校卒業後、京都市立芸術大学美術学部工芸科で染織を専攻し中退。2014年に帰郷。
菅邦男氏(宮崎大学名誉教授)のエッセイ「ふしぎなことも」(鉱脈社、2014年)の装画、神崎直美氏(埼玉・城西大学教授)の研究書「幕末大名夫人の知的好奇心―日向国延岡藩 内藤充真院―」(岩田書院、2016年)の装丁を担当。
2017年には延岡市市民まちづくり活動支援事業で『躍動する延岡びとの偶像「延岡宝財嶋玉町之図」―約190年前、方財島での大筒射技演武を読み解く―』パンフレットをデザイン。延岡市天神小路の亀井神社の御守り、創建400年記念手ぬぐいをデザインする等、地域を深く考えたデザインを目指している。
2021年に市内にある「上原印房」の上原さんから活版印刷道具一式を譲り受け、様々なものを製作中。延岡バックステージ代表。